ナイフの材料に求められる性能とは、硬度や耐蝕性、充分な靭性などです。さらに、鑑賞に耐えるだけの美しさも必要です。当社が熱処理に携わる金属のプロとして、ナイフ愛好家の皆様が唸るような材料を開発したいと思い、日立金属株式会社とともに研究・開発したのが、刃物鋼「ZDP189」です。
驚異的な硬度や強靭性、耐蝕性、美観を併せ持つスーパーパウダー合金により、これまではできなかったナイフの新しい可能性が開かれています。
ナイフショップ様などではおなじみの材料となっておりますので、全ての愛好家の皆様に自信をもっておすすめいたします。
ZDP-189は日立金属株式会社が開発した刃物用鋼材です。以下、日立金属株式会社のPR.1436資料からの引用です。
ZDP189は粉末冶金技術により製造する新しいタイプの刃物鋼です。
均一微細なミクロ組織を有し、粗大炭化物を含まないため、刃付性が良好です。また、66~68HRCの高硬度、高耐摩耗性が得られ、耐食性も良好のため、切れ味が良く、刃持ちも優れています。
焼入れ | 1,050°C×10′空冷 |
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サブゼロ | 液体窒素またはドライアイス(焼入れ後すぐ実施) |
焼戻し | 150℃×2Hr空冷 (硬さ狙い:67~68HRC) |
焼入れ焼戻し後のミクロ組織を下に示します。極めて微細かつ均一な炭化物分布となっております。
大越式摩耗試験による結果をATS-34,SUS440Cと対比して示します。
ZDP189、ATS34、SUS440C(いずれも焼入れ後、低温焼戻し状態)の比較試験結果を下図に示します。
※画像をクリックすると拡大します。
焼入焼戻しした板材の10Rシャルピー試験結果をATS34と対比して示します。
ZDP-189鋼材は、HRC67の硬度から実現する切れ味のよさ、シャープなエッジラインの美しさ、ミラー仕上げの輝きのよさが特徴です。
ZDP189をATS34で挟んで三層鋼にしますと、刃の硬度・切れ味はHRC67を保ったまま、刃物の側面の加工性が良くなります。
熱処理屋 八田工業株式会社は、大阪府堺市にある真空熱処理専門工場です。当社では、真空熱処理やイオン窒化処理といった熱処理加工とワイヤーカット放電加工や細穴放電加工、平面研削加工といった機械加工を中心に、24時間365日、お客様にご満足いただける加工に努めております。上記以外にも、ガス浸炭、ガス浸炭窒化、光輝熱処理、サブゼロ処理、プレステンバー、ショット加工、歪み取りといった熱処理加工にも対応可能です。さらに当社では、熱処理加工のノウハウを最大限活かし、カスタムナイフの材料加工にも取り組んでおります。素材の特性を熟知したプロが最適な熱処理加工を施しますので、ナイフ愛好家のお客様もお気軽にご依頼ください。